電子取引データ保存制度

2023/11

所得税、法人税では、取引に関して相手方から受け取った注文書、領収書等や相手方に交付したこれらの書類の写しについて、保存義務があります。

令和6年1月からは、電子取引を行った場合には、書面による保存ではなく、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を一定の方法によって保存しなければならないことになります。

◎ 電子取引

電子取引とは、取引情報(取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引を言います。

電子取引には、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引、いわゆるEDI取引などが該当します。

◎ 電子メールによる取引の保存

電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます)を行った場合も電子取引に該当するため、その取引に係る電磁的記録の保存が必要になります。

電子メール本文に取引情報が記載されている場合にはその電子メール自体を、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合には、その添付ファイルを、ハードディスクやコンパクトディスク、DVD、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存することになります。

◎ インターネットバンキングによる振込

インターネットバンキングを利用した振込等も、電子取引に該当するため、金融機関の窓口で振込等を行ったとした場合に受領する書面の記載事項(振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等)が記載されたデータの保存が必要です。

◎ 従業員等による経費等の立替払い

従業員が会社の経費等を立て替えた場合、その従業員が支払先から領収書を電子データで受領した行為については、会社としての電子取引に該当することになるため、電子データの保存が必要になります。

この場合の電子取引データについては、従業員から集約し、会社として取りまとめて保存し、管理することが望ましいとされています。

ただし、集約するまでの一定の間、従業員のパソコンやスマートフォン等に電子データ自体は保存しておきつつ、検索機能を損なうことがないよう会社としても日付、金額、取引先の検索条件に紐づく形でそうした保存状況にあることを情報として管理しておくことも認められるとされています。

◎ 書面でも受領する場合

電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領した場合に、書面を正本として取り扱うことを決めているときには、その書面の保存のみで足りることになります。

ただし、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、書面と電子データの両方を保存する必要があります。

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