インボイス 2割特例

2023/10

令和5年10月1日より、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されましたが、令和5年度税制改正で、小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)が設けられました。ここでは、その内容を確認していきます。

◎ 制度の概要

一定期間内において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと、または課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額にすることにより、納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする措置が講じられました。

イメージとしては、簡易課税の第2種事業(みなし仕入れ率80%)と同様の税負担となりますので、たとえば簡易課税(第5種事業)、課税売上高800万円、消費税等80万円の場合、本来は80万円ー80万円×50%=40万円の負担ですが、特例適用により80万円ー80万円×80%=16万円の負担で済むことになります。

◎ 適用対象者

2割特例の適用対象者は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者です。

個人事業者の場合、令和5年分が免税事業者で、インボイス発行事業者の登録を行い、令和5年10月1日から課税事業者になるのが典型的なパターンです。

なお、令和6年分以降について、基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合など、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や課税期間を1ヶ月または3ヶ月に短縮する特例の適用を受ける場合については、2割特例の対象となりません。

◎ 特例適用期間

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。

免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受ける場合には、令和5年10月~12月分から令和8年分までが適用対象期間となります。

免税事業者である3月決算法人が令和5年10月1日から登録を受ける場合には、令和6年3月決算分(令和5年10月~令和6年3月)から令和9年3月分までが適用対象期間となります。

◎ 適用手続

2割特例の適用について、事前の届出は必要なく、消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。

また、継続適用は要件とされていませんので、消費税の申告の都度、適用の有無の選択が可能です。

なお、原則課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、2割特例の適用が可能です。

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