相続発生時の消費税

2023/07

◎ 免税事業者

基準期間(個人の場合は、前々年)の課税売上高が1,000万円以下であり、かつ、特定期間(個人の場合は、前年の1月から6月まで)の課税売上高または給与等支払額のいずれかが1,000万円以下の場合は、消費税の免税事業者となります。

ここでは、相続が発生して事業承継があった場合の消費税の免税事業者の取扱いについて確認していきます。

◎ 相続発生年の判定

相続が発生して事業承継した相続人について、相続発生年の納税義務の判定は、被相続人の基準期間の課税売上高によって行います。

被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、事業承継した相続人は、相続のあった日の翌日から12月31日までの期間について課税事業者となります。

◎ 分割して事業承継した場合

複数の相続人が分割して事業承継した場合には、それぞれの相続人が分割承継した部分の課税売上高によって判定することになります。

したがって、甲事業(店舗)と乙事業(店舗)を別の相続人が事業承継した場合、たとえ合計で1,000万円を超えていたとしても、甲事業(店舗)と乙事業(店舗)がそれぞれ1,000万円以下であれば、いずれの相続人も免税事業者となります。

◎ 相続発生の翌年・翌々年の判定

相続が発生して事業承継した相続人について、相続発生年の翌年・翌々年の納税義務の判定は、相続人と被相続人の基準期間における課税売上高の合計額によって行うことになります。

したがって、相続人・被相続人それぞれの課税売上高が1,000万円以下であったとしても、課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合には、納税義務者となります。

◎ 財産が未分割の場合

相続財産が未分割である場合には、分割が行われるまでの間は、被相続人の事業は各相続人が共同して承継されたものとされますので、各相続人が法定相続分によって承継したものとして、納税義務の判定を行うこととされています。

◎ インボイス発行事業者

インボイス制度が開始される令和5年10月1日以降に相続が発生した場合、被相続人がインボイス発行事業者で、相続人がインボイス発行事業者でないときは、みなし登録期間の適用があります。

みなし登録期間とは、相続のあった日の翌日から相続人がインボイスの登録を受けた日の前日、または相続のあった日の翌日から4ヶ月を経過した日のいずれか早い日までの期間をいい、この期間はインボイス発行事業者とみなされます。

そして、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされます。

相続人は、このみなし登録期間経過後については、インボイス発行事業者の登録申請を行わない限り、インボイスを発行することはできないこととなります。

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