投資信託の”タコ足配当” 企業の資本戦略のツールにも使える?

2018/06
分配型の投資信託は、毎月、分配金が受け取れることで人気ですが、その分配金を預金利息と同じように考えている方もいるようです。

”タコ足配当”という言葉がありますが、これは分配型の投資信託を”タコが自分の足を食べる”のに例えたものです。
見た目には、配当分配が毎月おこなわれますから、とても魅力的な商品に映りますが、この配当分配の原資には、運用益だけでなく、投資信託の元本が取り崩されて分配されています。

分配金を受け取ると、源泉徴収されているのが普通ですが、源泉徴収されていない分配金があります。
これが、タコ足配当で、配当所得には該当しません。元本の取り崩しなので、投資元本の簿価の記録としては、これを減少させることになります。

商法では、タコ足配当は、絶対的な制限事項でした。
旧商法の重要課題である債権者保護は、”資本充実の原則”によって支えられていましたが、現行会社法にはこの発想はありません。会社法では、企業内容の開示が債権者保護の軸になり、開示情報をもとに、債権者は賢明な意思決定をおこない、市場における自分の権利は自分で守る、という自己責任の原則に変わっています。

会社法では、資本金をゼロまで減少させて、資本剰余金にすることができます。
資本剰余金は、利益剰余金と同様に、株主に配当することができますから、実質的にタコ足配当と同じになります。資本充実の考え方とは逆行します。

この資本剰余金を原資とする配当は、税法では、株式の譲渡収入と看做されます。その収入に対する譲渡原価として過去の株式出資(購入)簿価が対応することになりますから、通常は譲渡益が出ることはありません。

投資信託の”タコ足配当”での処理と同じになります。

ただし、合併や会社分割等の組織再編で生じる資本剰余金は、株主からの外部拠出によって生じたものではありませんから、もしこれを原資として株主に分配することがあれば、これによる株式の譲渡収入と看做される額が、これに対応する譲渡原価となる株主の過去の拠出額を超えて、巨額の譲渡額を算出する場合があります。

資本金の充実は、安定経営の基本的な考え方ですが、一方で、均等割り、外形標準課税、消費税の取扱いなど、資本金の額を基準とした税金負担を考えると、単純な資本増強が得策とは言えないのが現実です。

結果的には、”プラスマイナスゼロ”のタコ足配当ですが、企業の資本戦略には都合のよいツールなのかもしれません。

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