2025/07

令和７年度税制改正は、年収103万円の壁が大きな話題となりました。少数与党下で与党の当初の税制改正法案で決着せず、修正案を含めて可決成立することとなりました。

ここでは、年収の壁に関する改正事項として基礎控除、給与所得控除、特定親族特別控除についてみていくことにしましょう。

◎ 基礎控除の改正内容

合計所得金額2,350万円以下の場合、基礎控除額を58万円（48万円から10万円引上）としたうえで、合計所得金額655万円以下の場合、基礎控除を４段階（37万円、30万円、10万円、５万円）で上乗せする。

ただし、30万円、10万円、5万円の上乗せは、令和８年分までの時限措置とすることとされました。

◎ 基礎控除額

令和７年分、令和8年分の基礎控除額は次のとおりです。

① 合計所得金額132万円以下ー95万円
② 合計所得金額132万円超 336万円以下ー88万円
③ 合計所得金額336万円超 489万円以下ー68万円
④ 合計所得金額489万円超 655万円以下ー63万円
⑤ 合計所得金額655万円超 2,350万円以下ー58万円
⑥ 合計所得金額2,350万円超 2,400万円以下ー48万円
⑦ 合計所得金額2,400万円超 2,450万円以下ー32万円
⑧ 合計所得金額2,450万円超 2,500万円以下ー16万円

◎ 給与所得控除の改正

給与所得控除の最低保障額を65万円（55万円から10万円引上）とすることとされました。

◎ 同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件の改正

同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下（48万円から10万円引上）とすることとされました。

◎ 特定親族特別控除の創設

生計を一つにする年齢19歳以上23歳未満（大学生年代）の親族等で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合、特定親族特別控除を適用することとされました。

控除額は、合計所得金額48万円超85万円以下の場合63万円で、以下合計所得金額が増加すると逓減します。

◎ 年収103万円の壁

この改正により、本人の所得税負担が生じない年収の壁は103万円から160万円に引き上げられました。ただし、住民税の基礎控除は改正されていないので、住民税負担は発生することになります。

次に、子ども等の被扶養者を扶養する親等について、扶養控除が適用外となり税負担が増加する年収の壁は、103万円から一般の場合は123万円に、年齢19歳以上23歳未満（大学生世代）の場合は150万円にそれぞれ引き上げられました。