120年ぶり!民法改正のポイント

2017/10
5月の参議院本会議で、120年ぶりに改正民法が可決成立しました。”消費者保護”と”権利拡大”を図るのが主な目的の改正です。
従来の商慣習を大きく変える見直しがあり、中小企業や個人事業者の実務に与える影響は幅広いものがあります。
《連帯保証制度の厳格化》
①事業目的の融資で、配偶者や自己の会社の役員以外の者を連帯保証人とする場合、公証人と直接会って保証の意思確認をしてもらう必要があります。
②保証契約をおこなう時は、自己の会社の財務状況を保証人に対して説明することが義務付けられます。
内容に虚偽の説明などがあるケースでは、保証人は後からでも契約を取り消すことができます。
さらに、財務状況の情報提供は、連帯保証人からの請求があれば、いつでもその内容を知らせる必要があります。
③個人の連帯保証人を付けるケースでは、連帯保証を負った時に、保証する限度額を設定することも義務化されます。
※連帯保証人を保護するには手厚い法改正ですが、融資をする側としては債権回収時のリスクが増加することになります。中小企業の資金調達に際し、希望する融資額を受けにくいケースや、手続きの煩雑さから連帯保証人を付けにくいなど、一言では喜べない側面があります。
《約款の見直し》
①消費者が約款に同意したとしても、その内容が利用者にとって一方的に不利益となるようなものであれば、契約や無効になります。
②契約締結後に、事業者の判断で約款を変更することができるのは、消費者の利益になる場合に限定されます。
《「消滅時効」の統一化》
これまで、飲食代の時効は1年間、商品代や報酬などは2年間、医師の診療報酬は3年間など、取引の種類によって、時効期限が分かれていました。
この煩雑さを解消するため、原則以下の2つの期間を併用する制度になりました。
①請求権があると知ったときから5年間
②請求権があると知らなかったときは、請求ができるようになってから10年間
※これまでのように、飲み屋の店主がツケを払ってもらえず”泣き寝入り”、そんなケースが減少するはずです。

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