2019/3
個人に対して、国内において源泉徴収の対象となる報酬・料金等の支払いをする者は、その報酬・料金等を支払う際に、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収して、税務署に納付する義務があります。
ただし報酬・料金等の支払者が個人であって、給与等の支払者でないときは、源泉徴収の義務はありません。
この報酬・料金等に対する源泉徴収のうち、原稿料や講演料などを支払う際の源泉徴収について確認していきます。
◎ 源泉徴収の対象となる原稿料・講演料等
源泉徴収の対象となるかどうかは、その名称ではなく、その実態で判断することになります。
したがって、謝金や取材費、調査費や車代などの名目で支払いをする場合であっても、その実態が原稿料や講演料と同じであれば、源泉徴収の対象となります。
◎ 旅費・宿泊費等の取扱い
講演の際の旅費や宿泊費などの支払いについても、原則的には報酬・料金等に含まれ、源泉徴収の対象となります。
ただし、通常必要な範囲の金額で、報酬・料金等の支払者が、直接ホテルや旅行会社に支払った場合には、報酬:料金等に含めなくてもよいことになっています。
◎ 賃金や投稿謝金
懸賞応募作品などの入選者に対する賞金や新聞・雑誌などの投稿欄への投稿の謝金などについても、原則として原稿料に含まれ源泉徴収の対象になりますが、一人に対して支払う賞金や謝金の金額が、1回5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
◎ 源泉徴収税額
源泉徴収すべき所得税額及び復興特別所得税の額は、次のとおりです。
①一人に対して支払う額が1回100万円以下である場合には、支払額の10.21%
②一人に対して支払う額が1回100万円を超える場合には、100万円までの部分の10.21%(102,100円)に100万円を超える部分の金額の20.42%を加算した金額
たとえば、一人に対して1回に支払う額が160万円の場合には、102,100円+(160万円-100万円)×20.42%となります。
◎ 消費税等の取扱い
報酬・料金等の額の中に消費税等(消費税及び地方消費税)の額が含まれている場合には、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象とすることになります。
ただし、請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、消費税等の額を含めない報酬・料金等の額を源泉徴収の対象とする金額としてよいこととされています。
◎ 源泉徴収税額の納付
原稿料は講演料などから源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の額は、支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。