「中小企業等経営強化法」と税制措置における優先選択<事例:小売業>

2018/05
中小企業や個人事業主にとって、設備投資をおこなって生産性向上を目指すことは、事業を拡充し継続していくうえでとても重要な施策になります。

平成30年3月31現在、認定件数は5万件を超えており、経済産業省管轄が約半数の2万9千件、続いて国交省:約1万2千件、農林水産省:5千件弱、厚生労働省:4千件弱となっています。

法律の趣旨を反映して、製造業が2万5千件弱と圧倒的に多いものの、サービス業、医療・福祉業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連業、娯楽業など多岐にわたります。

これを税制面から支援する2つの措置について、整理しました。

1.中小企業経営強化法について
・平成28年7月1日に施行された法律で、中小企業・小規模事業者等の経営強化を図るため、事業所管大臣が事業分野ごとに指針を策定するとともに、取組を支援するための措置
等が規定されています。
この規定にともなって「経営力向上計画」の認定を受けた事業者は、税制や資金繰りなどの金融面での支援等を受けることができます。

2.中小企業経営強化税制(平成29年4月1日~平成31年3月31日)
・中小企業が、中小企業経営強化法を受けた経営力向上計画に基づいて、一定の設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却または税額控除を選択適用することができます。
なお、対象設備は、以下のとおりです。

●機械装置
●建物附属設備
●工具(測定・検査工具)
●器具備品
●取得価格70万円以上の一定のソフトウェアなど

3.固定資産税の特例(平成29年4月1日~平成31年3月31日)
・中小企業者が、経営力向上計画に基づいて一定の設備を新規取得した場合、固定資産税が3年間、2分の1に軽減されます。この特例は、赤字法人の支援策として有効とされています。

4.その他
・中小企業等経営強化法の認定がなくても利用できる税制(平成31年3月31日まで)として、次の2つの税制があります。

①中小企業投資促進税制
中小企業者が、機械装置等を導入した場合に、取得価格の30%特別償却または7%の税額控除が選択適用できます。

②商業・サービス業・農林水産業活性化税制
商業・サービス業等を営む中小企業者等が、経営改善に資する器具備品や建物附属設備を導入した場合も①と同様です。

製造業だとイメージしやすいと思いますが、なかには具体的なイメージがつかみにくいという業種もあるかと思いますので、経済産業省の事例集から、一例を紹介します。

<小売業(広島県)経済産業省認定>
〔計画〕
地域に密着した総合スーパーマーケットである会社が、
・セミセルフレジとカートインスキャナー、産直管理システムを導入し、従業員の会計・事務作業の省力化を図る。
・収納代行サービスを行い、来店の動機付けをおこなうことで、販売機会の増加を図る

〔具体的な取組〕
○セミセルフレジとカートインスキャナーを導入する。チェックアウト機能を分割することによりレジ精算時間の短縮を図ると共に、クレジット決済や電子マネーなど決済機能を多様化する。
○地産地消コーナーの生産者管理システム「産直管理システム」を導入し、事務作業の省力化を図る。
○ウェブショッピングや公共料金等の収納代行サービスを開始し、来店動機付けと「ついで買い」を促す。

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